紅白かまぼこを探しまわって

平成8年10月のことです。今から20年ほど前になります。
ちょうど私は二人目のこどもがお腹にいて、出産予定日を2週間後にひかえていました。
里帰り出産をするので、実家の岐阜に長女を連れてかえっていました。
私の実家は自営業で、約300人ほどの従業員をかかえている中小企業です。自宅のすぐそばには、創業以来の工場があり、そこには毎日80人ほどの方が働いています。

かつて、昭和の時代、岐阜で国体があったとき、天皇陛下がその国体に出席されるにあたり、岐阜をご訪問、その折、昭和天皇様が、その当時では珍しかったのですが、実家の工場を視察されたのです。それが10月24日でした。その日以来、私の実家ならびに会社では、その日を「栄光の日」と名づけ、その10月24日には毎年従業員一同と、あめでたい食事、お赤飯に紅白かまぼこ、とりの照り焼き、ほうれん草のおひたしを食べるようになりました。
出産で帰っていた、今から20年前の10月23日、工場の食堂のまかないを一手に引きけてくだっているおばちゃんから、母に「明日の栄光の日に出す、紅白のかまぼこがたりなくて、どうしましょう。」と連絡がありました。母は、すぐに「あとで買い物にでるから、買ってくる」と軽く請け合いました。
その日の午後、私は母と娘を連れて、買い物に出ました。とりあえずの買い物後、頼まれた紅白かまぼこを買おうとしたところ、私たちのほしい数の紅白かまぼこが、ないのです。そのスーパーは、地元でも大型店舗でしたが、置いてある数では、足りませんでした。お正月には当たり前のようにたくさん食べるかまぼこ、普通のときは、うどんやおそばに入れるぐらいで、たくさん消費されないからでしょうか、その後他のスーパー何店か周り、ようやくたのまれた数の紅白かまぼこをかうことができました。そもそも、80人分の紅白かまぼこですから、仕方なかったかもです。
スーパーを何店かまわり、大きなおなかをかかえて、たくさん歩きました。

その日の夜、これまでにないほどおなかが急にぱーんとはってきました。おかしいなと思っているうちに、破水してしまいました。
慌てて病院へ。日付が変わり、我が家が「栄光の日」と名付けた日に、今19歳になる息子が無事生まれました。「栄光の日」というおめでたい日にうまれたこと、紅白かまぼこを探し、歩き回ったために予定より早く生まれたこと、そのふたつにちなんで、おめでたい明るい名前にしようとなり、「太陽」と名づけました。
紅白かまぼこには、いつまでも素敵な思い出しかありません。

今年の夏こそ挑戦したいと思っているけれど

小さいころからずっと「小鳥と一緒」だった私は今も3歳のインコと暮らしています。
最近のインコブームとかで、「インコの匂いのするアイス」や「インコの匂いのする香水」なんかの話題もとても興味深く見ていました。

商品が販売されたときに「そうよ、まったく賛成」と思ったのです。
可愛い小鳥たちは飼い主にとってまさしく「スイーツのイメージ」があります。
私の場合も愛鳥が白文鳥だったときはケーキ屋さんでよく見かける「白い生クリームデコレーションがメインのケーキ」そっくりだと思っていました。
あんこのいっぱい詰まった和菓子風のイメージの愛鳥もいたし、今のコはまさしくエッグカスタードタルトのイメージです。

だからインコアイスも夏のデザートの定番として試してみたいと思っているものではありました。
残念ながらもうひとつ「よーし、食べてみよう」という盛り上がりに欠けてまだ試したことはないのですが。

というのも「やっぱりちょっと怖い」という気もするのです。
愛鳥の匂いが一番するのは水浴びした後ですが、餌となる穀物などの香ばしい匂いのほかにどうしても「脂臭い」ところがあるからです。
鳥の羽には雨水などをはじくように油分があります。
そのせいか水浴びの後には、私の経験からすると羽を守るための脂の匂いもいっそう強くなるわけです。
健康な鳥の体臭として飼い主としては好きなものですが、食べるとなると「ちょっと違うな」と思ってしまうのです。

もちろん食べ物として「鳥の匂いのイメージ」で作られている商品で、本当に「鳥の匂い」ではないとわかっていても耐えられるかどうかはわかりません。
そのために興味はすごくあるのだけれど、「実際に買って食べる」というところまではいかないのです。

でも商品はなかなか好評だそうです。
人気のために一人のお客さんが買う個数に制限がかかる場合もあると聞きます。
そうなるとますます食べてみたいけど、やっぱりなんとなく怖い、という葛藤が心の中で続きます。

アイスの材料を見ても黒ゴマとかナッツ・雑穀やフルーツなど普通なら健康的だし美味しいし、という食材ばかりです。
だからインコのアイスであるかどうかは関係なく、アイスクリームとして美味しいだろうなと思います。

今年こそは、と思いながらチャンスを逃した昨年。
同じ葛藤を繰り返しながらも「どうしようかなあ」と迷う日々は続きます。
いっそのこと誰かプレゼントしてくれないかな、頂き物なら簡単に捨てるわけにもいかないから「食べないといけない」という状況になるのにな、と考えています。
ずいぶんムシのいい話だとは思うのですが。
やっぱり自分で買わないといけませんね。
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